熊本県知事が産地偽装の疑いで同県産のアサリを2カ月間、出荷停止するよう漁業組合に要請した問題で、真相解明が急がれる中、熊本県下の漁協から出荷したハマグリが大量に返品されていたことが、分かりました。他の海産物の取引価格も下落しており、すでに、アサリの産地偽装疑惑を受けた風評被害がアサリ以外にも拡大しています。
報道では、返品されたハマグリを有明海にまき戻す漁協の職員の姿が写っていました。出荷停止による打撃よりずっと大きな影響(被害)が予想され、偽装した業者をあぶり出し処断するだけでは済まされそうにありません。
ところで、アサリなど2か所以上で育つ海産物については牛肉同様、食品表示法で「長いところルール」が定められています。1日でも長く育てられた場所を原産地と表示するのです。一方、今回の騒動で農林水産省は、国内で流通する熊本県産アサリについて、外国産が大量(97%)に混入し販売されていたとの調査結果を公表しましたが、この産地確認はDNA鑑定です。DNAは生まれてから変化することはないので、中国で生まれたアサリは、いくら長く熊本で育てられても中国産のままです。このあたりは、もっと丁寧に説明する必要があると思います。
食品表示法の「長いところルール」が適用される牛肉も、日本にいる期間が一番長ければ、生まれがアメリカでもオーストラリアでも、すべて「国産牛」です(DNA鑑定したら産地は外国です)。ただし、国産牛の中でも、決められた血統、品種の肉に限って「和牛」と呼ぶことができます。
今後は、「輸入アサリ」、「国産アサリ」、「和(日本)アサリ」、そんな表示になるのでしょうか?
東京湾で採ったアサリを早朝、リヤカーに載せ「アサリ~」って、大声出して売りに来ていた時代がありました。