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ホームと列車のすき間をせまくしています

 昨年から見かけることが多くなった、ピンクの乗降口。これまで、車いす利用者が乗降するには駅員さんの介助が必要でした。しかし、車両とホームの隙間を7㎝以内(段差3㎝以内)にすれば、9割の利用者が自力で乗降できることがわかっています(2019年8月、国道交通省)。

 事件は、この写真を撮った数日後に起こりました。私が仕事のため、都庁に向かう途中での出来事です。

 私が乗った車両には車いす用の広いスペースがあり、私はその付近に立っていました。すでに、そのスペースを使って若い母親がベビーカーに子どもを乗せ、あやしていました。何だか、ほのぼの~。

 二つ目の駅(この駅にはピンクの乗降口はありません)で、初老の女性がベビーカーを押して車両に乗り込もうとしてきました。しかし、段差があって思うように乗せることができません。私が「お手伝いしましょう」と手を伸ばしたとき、なんと、ベビーカーの前輪がホームと車両のすき間に落ちてしまったのです。リュックスタイルで両手の空いていた私は、寸でのところでベビーカーをつかむことができ、無事引き上げ救出することができました。

 女性が非常停止ボタンを押したので、駅員が駆けつけてきました。若い母親が駅員に事情を説明しました。

 車内に「ただいま、ホームドアの点検中です」というアナウンスが流れました(3度くらい)。駅員が事情を理解し、列車が出発するまで5分くらいかかったでしょうか。列車が遅延する、ここが、その「現場」でした。

「慣れないもので」初老の女性は、お孫さんを連れて移動中だったようです。列車は何事もなっかったように再び動き出し、車両内の乗客も、何事もなかったようにスマホをいじっていました。

 この駅には、ピンクの乗降口はありません。特別の乗降口だけでなく、全部の乗降口のすき間をなくせば、車いす利用者だけでなく、ベビーカーとともに行動する子育て世代も安心でき、列車の遅延もなくなるのに~限りある予算をどこに使うべきなのか?

 そんなことを考えながら、私は都庁(主計局)を訪ねたのでした。