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社会実験バス(足立区)

 12日は、大学で「教職実践演習」の講義でした。前回は「生徒指導 はじめの一歩」というテーマでしたので、「学校が変わる」とサブタイトルを付けました。めざしたのは「学校」→「楽校」。

 今回のテーマは「専門職としての在り方・生き方」です。学校は「働き方改革」と声高に叫びながら、その実態は、高い倫理観を持って!熱い情熱を持って!弛まぬ向上心を持って!などなど旧態依然。これでは教員希望者が減るのもうなずけます。そこで、ひねり出したサブタイトルが「低い理想と早い妥協」。私の生き方です(笑)。

 さて、講師控室に貼ってあった「社会実験バス 運行ルート&時刻表」。このバスは、六町駅→大学→花畑桑袋団地をつなぐ地元要望路線です。公共交通における規制改革(規制緩和)で、バス事業者の赤字路線からの撤退が相次ぐ中、これまで税金を一切投じないことを前提にコミュニティバス「はるかぜ」を12路線、走らせてきた足立区が初めて行う社会実験です。収支率24%超を2期(6月×2)続けることができたら本格運行に移行する。これを条件に、最長2年走らせる計画で2021年10月にスタートしました。しかし、収支率9.7%→13.3%→?→?というのが現状です。

 運行経費の年間1億円と、小型バス4台分の減価償却費2400万円の合わせて12400万円の事業費は全額、足立区が負担しています。収支率の計算にバスの減価償却費は含めないので、収支率24%を達成したとしても、運賃収入は2400万円。区の負担は1億円です。この収支率24%を達成するには、小型バス1便当たり1200円の運賃収入が必要で、乗降客を現状の4人→6人に増やさなければなりません。苦戦が続いています。

 ところで、中学校社会科で「赤字バス路線に税金を使うべきか」を取り扱っている教科書があります。社会資本の役割、限られた財源の効率的な配分などを学ぶことがねらいですが、同時に言語活動を通じて、課題→対話→議論→判断→行動という流れを体験させることができます。日本の教育に足りない「対話」です。

 13日は、大学の「公共経営実地演習」の授業の一環で地元の信用金庫を訪問します。